テフロンの鍋の毒性・危険性

テフロンの鍋の毒性・危険性
テフロンは、1946年にアメリカの化学メーカー、デュポンが製品化したフッ素樹脂の登録商標です。化学物質としての学名はポリテトラフルオロエチレンといい、通常は PTFE という略称で呼ばれます。
PTFE の特徴は、化学反応を起こしにくい安定した毒性のない物質で、耐熱性・耐薬品性に大変優れている点です。また、人類がこれまでに発見した物質の中で摩擦係数がもっとも小さい物質という点も、大きな特徴です。テフロン加工(PTFE によるコーティング)を施した鍋が焦げ付かないのは、摩擦が小さく非常に滑りやすいためです。しかし、大変優れた素材である PTFE にも、高温で有毒ガスを発生するという弱点があります。


PTFE が高温で熱分解し、フッ化炭素ガスとなって昇華することは、かなり早くから知られていたようです。1955年に行われた動物実験では、そのフッ化炭素ガスによって実験用の小鳥たちが犠牲になりました。
現在、テフロン加工の鍋は、温度が約260℃を超えるとテフロンの劣化が始まり、350℃以上でテフロンは熱分解することが公表されています。熱分解によって発生したフッ化炭素ガスには小鳥が死ぬほどの毒性があります。しかし、人間に対してはインフルエンザに似た症状を起こさせますが、致死性のガスではないようです。
このように、便利なテフロン加工の鍋にも、危険な一面があります。しかし、通常の調理の温度はせいぜい200℃台の前半であり、オイルを使った場合にも、テフロンの劣化が始まる260℃に達する以前に、激しい油煙が立ち上ることでしょう。鍋のラベルなどに製品の使用温度が明記されているはずですので、それを目安にしてください。通常の調理ではテフロンの熱分解を心配する必要はなく、空焚きをしないように気をつけていれば危険はありません。