外国製の鍋は安全? 輸入鍋の法に基づく安全チェック体制

外国製の鍋は安全? 輸入鍋の法に基づく安全チェック体制
海外で製造された鍋を輸入する場合は、日本の国内法である「食品衛生法」の規制を受けます。また、国内で販売することに対しても、「家庭用品品質表示法」と「消費生活用製品安全法」の規制を受けます。
■ 食品衛生法に基づく輸入時の安全チェック
食品衛生法には、食品についてだけでなく、食品に接触する器具・容器・包装についての衛生基準も定められています。鍋については、金属部品の鉛含有量やホーロー鍋・耐熱ガラス鍋・土鍋3種類の鉛・カドミウム溶出量が規制対象となっています。
輸入業者は、全国13個所の国際貿易港・空港にある厚生労働省検疫所に、食品等輸入届出書と厚労省指定検査機関または輸出国公的検査機関発行の検査成績書などをあらかじめ提出しなければなりません。提出書類を審査して書類に不備や不審な点が見つかり、規格基準への適合や安全性の確認が必要と判断された場合は、検疫の際に検査が行われます。審査・検査で問題点が見つからなければ検疫所から届出済証が発行され、初めて税関手続きを行うことができます。


■ 消費生活用製品安全法による販売時の安全チェックと家庭用品品質表示法
これらの法律は、国産品・輸入品を問わず国内で販売される商品が規制対象となります。まず、消費生活用製品安全法では、消費者の生命・身体に対して特に危険な被害を及ぼす恐れの多い商品に対し、国の定めた技術基準に適合していることの自己確認または第三者機関による検査を義務づけています。対象商品で確認・検査をパスした商品には適合マークである「 PSCマーク」の貼付が義務づけられ、貼付されていない商品の販売は禁止されています。
鍋で消費生活用製品安全法の規制対象となっているのは、家庭用の圧力鍋と圧力釜です。国の技術基準に適合していることを業者が自己確認して届け出なければなりません。なお、経済産業省では、届出業者が法的義務を適切に履行していることを確認するため、PSCマーク商品を無作為に購入して検査する試買テストを毎年実施しています。2015年度には家庭用圧力鍋・釜で5機種が試買テストの対象となり、1機種でPSC表示の不適合(技術基準には適合)が確認されました。
家庭用品品質表示法は、一般消費者が製品の品質を正しく認識し、購入に際して不測の損失を被ることのないようにするため制定された法律です。輸入商品を一般消費者に対して販売する場合には、輸入業者や販売業者が表示者となり、消費者に分かりやすい日本語で品質表示をするよう義務づけられています。ただし、すべての輸入商品が品質表示を義務づけられている訳ではありません。鍋の場合、アルミ鍋、ステンレス鍋、鉄製ホーロー鍋、銅鍋、以上4品目の容量10リットル未満のものに限り、以下の内容の品質表示が義務づけられています。
[ 輸入鍋の品質表示 ]
① 表面加工 (表面加工されている場合)
② 材料の種類
③ 寸法
④ 満水容量
⑤ 取り扱い上の注意
なお、鍋では原産国表示が義務づけられていません。また、上記輸入鍋の品質表示がない場合、虚偽の表示がされている場合、それによって被害を被った場合などは、消費者ホットライン(電話番号 188 )で地元自治体(都道府県または市区町村)の消費生活相談窓口に相談してください。