焦げ付かないフライパンは? 鍋の比較と正しい選び方
■テフロン加工のフライパン
焦げ付かないフライパンと言えば、テフロン加工のフライパンです。テフロン加工製品のことは「焦げ付かない鍋…」でも紹介しましたが、1950年代にフランスのティファールがテフロンの加工技術を開発し、アメリカでも大ヒット商品としたのはフライパンでした。テフロン加工のフライパンは、当時の女性たちにとって、焦げ付きの悩みを解決してくれた大発明だったようです。
テフロンは、アメリカの化学メーカーであるデュポンが開発し、1946年に製品化したフッ素樹脂の登録商標です。その最大の特長は、摩擦係数が極めて小さいことです。人類が発見したもっとも摩擦係数の小さな物質と呼ばれています。その他の特性として、化学反応を起こしにくい安定した物質であること、耐熱性・耐薬品性に優れていることなどから、やがてフライパンの内側をコーティングする素材としても活用されるようになりました。
テフロン加工のフライパンは、調理面の摩擦が極端に小さいことにより、焦げた食材が中に付着して残っても、へらで軽く擦るだけできれいに剥がれ落ちます。その便利さから同類の商品が市場に氾濫していますが、注意すべき点はテフロンのコーティングの品質です。人気商品ですから、簡単に傷付いてコーティングが剥がれてしまうような粗悪品も少なからずあることでしょう。購入するときは、商品パッケージやパンフレット・Webサイトの表示と商品説明をよく確かめ、納得できるものを選びましょう。
分厚い南部鉄器のフライパンには、焦げ付きが起きにくいという特性があります。
南部鉄器は、肉厚であるために素材への熱の通りが大変に良く、焼く・炒めるというフライパン本来の調理に最適です。さらに、南部鉄器の表面には無数の微細な穴があり、そのために油がよく馴染みます。均一な熱伝導の特性と油の馴染みの良さによって、焦げ付きやこびりつきが余り起こりません。また、使い始めのときの空焼き(焼き馴らし)をする必要もありません。
南部鉄器のフライパンの欠点は、とても重いことです。そのため、鍋を揺する調理法には向きません。フライパンは動かさずに、へらや菜箸で素材を動かして調理します。しかし、類まれな頑丈さや、伝統工芸ならではの美しさを兼ね備えた南部鉄器のフライパンは、まさに一生使える一品です。